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小さき勇者たち~ガメラ~

昨日は借りたDVDの1枚、「小さき勇者たち~ガメラ~」を見ましたので、その事について書きます。
今まではテレビで放送しているのを途中から見ただけなので、最初から全部見たのは今回が初めてです。


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スタッフ
監督:田﨑竜太
脚本:龍居由佳里
音楽:上野洋子
怪獣造形:原口智生


キャスト
相沢透:富岡涼
西尾麻衣:夏帆
相沢孝介:津田寛治
西尾治:寺島進
ガメラ:佐々木俊宜
ジーダス:吉田瑞穂


ストーリー
時は1973年。三重県志摩をギャオスの群れが襲い、猛威を振るっていた。
だがそこへ1匹のガメラが現れ、我が身を犠牲にしてギャオス達を倒し、人々を守ったのだった。
その勇姿を見ていた人々の中に、まだ少年だった相沢孝介がいた。
それから33年後、孝介の息子・透は母親を交通事故で亡くして初めての夏休みを迎えた。
緋島の一部が赤く光っている事に気付いた透はそこへ行ってみるが、不思議な赤い石と卵を見つけた。
その卵から孵化したカメに「トト」と名付けた透は、自宅に持ち帰って大切に育てるが・・・。


レビュー
ガメラ生誕40周年作品として、1999年の前作「ガメラ3 邪神覚醒」から7年ぶりに復活した、シリーズ第12作目(と同時に生みの親である、湯浅憲明監督没後に作られた最初のガメラ映画でもある)。
ストーリーは「E.T.」に近く、トト=ガメラと主人公の少年・透の友情、それを狙う大人達や獰猛な肉食怪獣ジーダスの魔の手から、トトを守る為に立ち向かう子供達の活躍を描いています。
その事もあってガメラが弱い立場になっており、今までの作品にあった頼もしさやヒーロー性がありません。
ガメラといえば作品によって設定に違いはありますが、必ず子供や人類の味方であると同時に、彼らの力ではとても手に負えない強大な存在で、我々がピンチの時には必ず助けてくれる理想の友達であり、兄貴でもあり父親でもありました。
自分を守ってくれる絶対的な存在を具体化したのがガメラだと思うのですが、ここでは怪獣というより可哀想な動物といった方がしっくりきます。
でもそれが駄目かというと決してそうではなく、主人公がトトにエサをあげたりする、主人公は家族や周囲の人間と上手くいかなくて孤独を感じていた時にトトと出会い、トトを父親代わりにするなどをやれば、主人公とトトの友情も深まって納得出来ます。
しかし本作にはそれがないので、主人公が一方的にトトに依存しているようにしか見えません。
トトも主人公をどう思っているのかはっきりせず、主人公自身友達が何人かいて仲良くやっているのに(父親とは上手くいっていないようだが)、あそこまでトトに依存しているのが分かりません。
敵怪獣のジーダスや赤い石が一体何だったのかも劇中では語られていないので、どうも説明不足です。
クライマックスのジーダスに劣勢のトトにパワーアップに必要な赤い石を届ける為に子供達がバケツリレーをする、通称「赤い石バケツリレー」も納得出来ません。
何故なら主人公は友達に、「トトの存在が世間にばれたらきっと大変な事になるから、この事は誰にも言わないように」と秘密主義を貫いています。だからトトの事を知っているのは、ごく一部の人達だけなのです。
にも関わらず、敵か味方かも分からない見知らぬ相手を信用して、助けると思いますか?
子供だって人間ですから、トトに対して恐怖心を抱いたり警戒したり、どっちか分からなくて迷ったり考えたりしている子供がいても可笑しくないのに、「子供はみんなガメラ大好きで当然でしょう?」という実に安易なノリでやったとしか思えないので、子供達の個性もなければ説得力もありません。
あのシーンは見ていて危なっかしくて、無謀な事をやっているだけにしか見えませんでした。
主人公やその友達だけやるなら、まだ良いのですが・・・。
このようにやろうと思えば面白くなりそうだったのに、それを活かせなかった失敗作です。


予告編です↓

ジーダスですが、見た目は比較的怪獣らしい姿をした怪獣で悪くはないのですが、肉弾戦のみで光線などの特殊能力を使った攻撃が一切ないので、流石に地味で迫力不足と言わざるを得ません。
トトが相手だから有利だったようなものですが、他の怪獣やウルトラマンなどのヒーローが相手だったら、結構あっさり倒されてしまうような気が・・・。
顔がミレニアムシリーズのゴジラで、体が細見なのはローランド・エメリッヒ版ゴジラを思わせるのですが、もしかしてゴジラへの対抗なんでしょうか?
と思っていたら、本当は元祖ウルトラマンに登場したジラースがモチーフだそうです。
いずれにせよ、ある意味「ゴジラvsガメラ」をやっていた事は確かです。
実際中の人も、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」でゴジラを演じた吉田瑞穂さんだったりします。
造られた着ぐるみは1体だけで(ギニョールや尾だけのモデルなどは、複数造られたそうだ)、ラストの爆破シーンで実際に燃やしたので現存しないようです。


1枚目:怪獣の溜息 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』とは、何だったのか.html(参考にも使った)
2枚目:も、もしやご禁制の _ 好きな俳優、今日の一枚.html

参考↓
小さき勇者たち〜ガメラ〜 - Wikipedia.html
ジーダスとは【ピクシブ百科事典】.html
宇宙船year book 2007―SF・特撮完全データブック2006→2007 (ソノラマMOOK)

by asabatyou | 2015-08-20 18:10 | 特撮、モンスター | Comments(5)

Commented by asabatyou at 2015-08-21 18:35
まだ小さいトトの目の前に、包丁が落ちてきてびっくりするシーンがありますが、あれは「ガメラ対大悪獣ギロン」へのオマージュです。
他にもトトが四足歩行するシーンがありますが、あれは昭和シリーズのガメラを思わせて、何だか嬉しくなりました。

また本作のガメラは今までと鳴き声が違っており、「THELANDUNKNOWN(知られざる土地)」のティラノサウルスの流用です(一部マリオシリーズでお馴染みのクッパや、「失われた世界」(1960年版)に登場したトカゲやワニを改造した怪獣の声も使われています)。
Commented by asabatyou at 2015-08-21 18:46
赤い石の事ですが、これを手にする事によってトトが口から火を発射したり円盤のように飛行出来るようになる事を意味していると思うのですが、それを手にする前でもトトは普通に空を飛んでいましたし、ちょっとだけですが火を吹いていました。
いずれにせよ、あの石の存在意義が不明です。
今までのガメラはそんな変な物に頼らなくても、自力で困難を乗り越える事が出来ましたし、石がなくても成長にするにつれて、どんどん強力になっていく方が自然で良かったと思います。
Commented by asabatyou at 2015-08-26 21:33
「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」や「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」、「ゴジラvsメカゴジラ」(1993年版)、「ゴジラ・ザ・シリーズ」でも、主人公やヒロインが子供の怪獣にエサをやるシーンがありました。
やはりいくら架空の存在とはいえ生物で、何かを食べないと生きていけません。
ちゃんとエサを与えてくれたり、世話をしてくれる人に懐いて服従するようにしないと説得力がありません。
それをやれば、トトがジーダスの魔の手から主人公を守る為に戦うのも納得出来ます。
「ダイゴロウ対ゴリアス」に、似た感じになるかもしれませんが(笑)。

「主人公は家族や周囲の人間と上手くいかなくて孤独を感じていた時にトトと出会い、トトを父親代わりにする」というのも、「ガメラ3 邪神覚醒」とカブりますが(笑)。
Commented by asabatyou at 2018-08-05 12:48
平成ガメラシリーズではカメという生物は存在しないという設定だったので、ガメラの分類は不明となっていましたが、こちらでは昭和シリーズと同じくカメ類となっています。

また今までの個体と異なり、「トト」という個体名が与えられており(ガメラという名前は、あくまで種族名である)、見た目もゴジラシリーズで例えると、ミニラやリトルゴジラを思わせるので、従来と異なる印象を受けます。

本作ではガメラが2匹登場していますが、両者の関係は最後の最後まで分かりませんでした。
Commented by asabatyou at 2019-06-05 19:42
ある意味「ゴジラvsガメラ」をやっていた事ですが、「ガメラ2 レギオン襲来」や「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」にも同じ事が言えます。

前者ならガメラ役が大橋明さんで、巨大レギオンが吉田瑞穂さんなのに対し、後者はゴジラ役が吉田さんで、キングギドラ役が大橋さんだからです。

お2人はツイッターでも立ち回りを披露しているので、再びゴジラvsガメラが行われた事になります↓

https://twitter.com/As70HmOoM77vhBv/status/861995339426914304、

https://twitter.com/As70HmOoM77vhBv/status/862658681799704576