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ヒトラー 〜最期の12日間〜

今月の26日ですが、録画した「ヒトラー ~最期の12日間~」を見ましたので、その事について書きます。


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スタッフ
監督 : オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本、製作 : ベルント・アイヒンガー
原作 : ヨアヒム・フェスト、トラウデル・ユンゲ
音楽 : ステファン・ツァハリアス


キャスト
アドルフ・ヒトラー : ブルーノ・ガンツ
トラウドゥル・ユンゲ : アレクサンドラ・マリア・ララ
エヴァ・ブラウン : ユリアーネ・ケーラー
ヘルマン・フェーゲライン : トーマス・クレッチマン
ヨーゼフ・ゲッベルス : ウルリッヒ・マテス
マクダ・ゲッベルス : コリンナ・ハルフォーフ
アルベルト・シュペーア : ハイノ・フェルヒ
エルンスト=ギュンター・シェンク : クリスチャン・ベルケル


ストーリー
第2次世界大戦中の1942年。
ナチ党結成の地ミュンヘン出身のゲルトラウト・フンプス(後のトラウデル・ユンゲ)は、ナチスの総統アドルフ・ヒトラーの秘書採用試験を受ける為に、東プロイセンのラステンブルクにある総統大本営ヴォルフスシャンツェ(狼の巣)を訪れた。
ヒトラーに気に入られてユンゲは採用され、彼の秘書として働く事になった。
それから3年後の1945年。
東部戦線だけでなく西部戦線も壊滅的状況となり、ドイツの敗北は決定的となっていた。
総統地下壕では錯乱状態と言ってもいいくらいに焦っているヒトラーと、それを見て戸惑うばかりの取り巻き達が居た。
次々と壊滅する自軍、混乱する市内。万事休した状況の中、ついにヒトラーは妻や愛犬と共に自決。残された人々は総統官邸を脱出し、逃げ惑う。
同年の5月8日、とうとうドイツは無条件降伏を受け入れ、長く続いた戦争に終止符を打ったのだった。


レビュー
多くのドイツ人にとってタブーとされていたアドルフ・ヒトラーや、ナチスにスポットを当てた戦争映画。
タイトルでは「ヒトラー ~最期の12日間~」となっていますが、実際はヒトラーが亡くなった後も話が続き、ドイツが降伏したところまでやりますから、「ナチス ~最期の12日間~」の方がしっくりきます(原題が日本語に訳すと「失脚」や「没落」を意味し、ヒトラーの名前はどこにもないので当然か)。

第2次世界大戦の終戦が迫り、敗北が決まったドイツが舞台になっている為、ヒトラーが死亡した後後を追うように自殺者が続出するなど、とにかく重々しく救いようのない暗い話が展開されます。
主役のヒトラーもユダヤ人虐殺で有名な悪名高き独裁者ですが、本作では思ったより冷酷な一面は見せず、かと言ってそんな彼を極度に擁護するわけでも批判するでもなく、真実の姿がありありと描かれています(だがこれが理由で公開当時ドイツでは賛否両論となり、黒歴史と向き合う時が来たと考える人達と、ヒトラーを「普通の人」として描く事に抵抗を感じる人もいた)。

ナチスやヒトラーの真実や、知られてない意外な一面が知りたいという人には良いかもしれませんが、事実と異なる点がやけに多いので、この映画でやった事を全て鵜呑みにしない方が良いです(例:本作では良心的な人物として描かれているシェンク医師は、実際は人体実験を行い、多数の犠牲者を出したとされる。ユンゲの父は熱心なナチス支持者だったのに、それが触れられていないなど)。
実際公開当時ヒトラー関連の人物で、唯一の生存者だったローフス・ミシュ(2013年に96歳で死去した)も、描写が大げさと批判したらしいです。

ちなみに本作はかつてヒトラーの秘書として働いていた、ユンゲの証言を基にして作られ、本人もオープニングとエンディングでインタビュー映像として出演していますが、完成前の2002年に満81歳で亡くなられました。



予告編です↓
さて「ヒトラー ~最期の12日間~」を語る上でどうしても欠かせないのは、やはり「総統閣下シリーズ」でしょう。
ヒトラーが側近との会議中に激昂するシーンに嘘字幕を付けて、「総統閣下は〇〇にお怒りのようです」というタイトルで、ネタにした動画です。
2006年にスペインで作られた嘘字幕動画がYouTubeに投稿されたのですが、それがきっかけで大量にパロディがアップロードされました。
日本でも当然これに目を付けて、嘘字幕は勿論(「大嫌いだ!」や「ちくしょーめ!」、「おっぱいぷるんぷるん」などの空耳字幕が付けられる事も)、彼らの声を人力VOCALOIDとして使用し、既存の曲を無理矢理歌わせたり(ナチス製ボーカロイドと呼ばれている)、激昂する以外のシーンを大量に流用し、アニメ版「アイドルマスター」を視聴してるかのように作ったストーリー性の高い動画など、様々なMADムービーが作られるようになりました。
監督のオリヴァー・ヒルシュビーゲル自身もこの事を知っているだけでなく、「ファンから大量に送られてくるパロディ動画のリンクを見て大笑いしている」と好意的な姿勢を示しています。
ですが製作会社はそうは思わなかったようで、YouTubeでは2010年4月頃から目立つ動画が次々と削除されてしまいました。
とは言っても、何が良くて何が駄目なのかははっきりせず、総統閣下シリーズはその後もYouTubeにたくさん残っていて、依然増え続けています。

他にも「アイアン・スカイ」や「帰ってきたヒトラー」に、これをネタにした思われるシーンが存在し、本作の人気の高さが伺えます。



出典


参考サイト

by asabatyou | 2017-06-28 17:30 | 映画 | Comments(4)

Commented by asabatyou at 2017-07-02 22:15
ナチスで人体実験といいましたら、「死の天使」と呼ばれたヨーゼフ・メンゲレも忘れてはいけません。
有害物質や病原菌を注射する、血液を大量に抜く、熱湯に入れて麻酔なしで手術をする、様々な薬剤をテストする、死に至るまで凍らせる、生きたまま解剖するなど、囚人達に致命的外傷を与える実験を繰り返しました。

また双子に特別な興味を持ち、子供の目の中へ化学薬品を注入して瞳の色を変更する実験や、人体の様々な切断、肢体や性器の転換およびその他の残忍な外科手術が行われました。
他にも、2つの同じ臓器が1つの身体で正常に機能するかを確認するために、双子の背中同士を合わせて静脈を縫い合わせることで人工の「結合双生児」を作ることを試みたそうです(詳しくはこちら→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AC#.E4.BA.BA.E4.BD.93.E5.AE.9F.E9.A8.93、http://bstxinc.sakura.ne.jp/wp2/dr-mengele)。
Commented by asabatyou at 2017-07-02 22:36
スラッシュメタル・バンドのスレイヤーが作曲した「エンジェル・オブ・デス」も、これを題材にしたものです↓
https://www.youtube.com/watch?v=CP7WErhtjWk

きさきPさんが作った、「総統閣下シリーズ」とアニメ版「アイドルマスター」をコラボさせたMADでも使用されて(http://www.nicovideo.jp/watch/sm22300242)、野々村竜太郎氏も号泣しながらカバーした事もあります(http://www.nicovideo.jp/watch/sm23942998)。
Commented by asabatyou at 2017-07-04 21:52
ヒトラー自身は満56歳で亡くなったそうですが、ヒトラー役のブルーノ・ガンツは60代だったので、本物より年を取っていて動きに年齢を感じる時があります。

でもこの枯れた感じが、悲壮感があって映画の世界観や雰囲気に合っていましたから、これはこれでありです。
Commented by asabatyou at 2017-07-07 21:57
本作でヒトラーを演じたブルーノ・ガンツですが、何と「バルトの楽園」という日本の映画に出演していました。

といいましても「フランケンシュタイン対地底怪獣」のニック・アダムスや、「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」のラス・タンブリンみたいに、日本の声優に吹き替えられる事はなく、本人の肉声らしいです。