人気ブログランキング | 話題のタグを見る

最後の海底巨獣

昨日は元から家にあるDVDの1枚「最後の海底巨獣」を見ましたので、その事について書きます。
久々に見たかったというのもありますが、こちらや「あなたの知らない怪獣マル秘大百科」にも書いてあるように、夏で恐竜映画と言いましたら、これだと思っているので。


最後の海底巨獣_a0265223_21003994.jpg
最後の海底巨獣_a0265223_21132782.jpg
スタッフ
監督 : アーヴィン・S・イヤワース・ジュニア
製作、原案 : ジャック・H・ハリス
音楽 : ロナルド・スタイン
特殊効果 : ティム・バー、ウォー・チャン、ジーン・ウォーレン
ストップモーションアニメーター : デヴィッド・パル、ドン・セイリーン ほか(全てノンクレジット)
恐竜の造形 :マーセル・デルガド(ノンクレジット)


キャスト
バート : ウォード・ラムゼイ
ベディ : クリスティナ・ハンソン
チャック : ポール・ルカザー
フリオ : アラン・ロバーツ
ネアンデルタール人 : グレッグ・マーテル


ストーリー
カリブ海に浮かぶカンティーナ島近海の海底で、氷漬けのティラノサウルスとブロントサウルス、ネアンデルタール人(劇中では、単に原始人としか呼ばれてない)が発見される。
島の海岸に引き上げられた2匹と1人は、その日に起こった落雷のショックで復活し、島は大パニックとなる。
ブロントサウルスとネアンデルタール人は、島の少年フリオと仲良くなり親友となるが、ブロントサウルスはティラノサウルスに敗れて流砂に沈み、ネアンデルタール人もフリオやその知人達を助けて、崩れゆく廃坑で命を絶った。
土木技師のバートは油圧ショベルに乗って、ティラノサウルスと戦う。


レビュー
本作は「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」で製作を担当したジャック・H・ハリスが、万人受けする恐竜映画として企画されました。
さらに特撮のアドバイザーとして、「キング・コング」(1933年版)で有名なウィリス・オブライエンが招かれましたが、コングと同じ恐竜をストップモーションで撮影しようというオブライエンの意見は聞き入れませんでした。
時間と予算がかかるからストップモーションを使うのが嫌だったのですが、ハリスはジョージ・パルに相談したところ、ジーン・ウォーレン率いるプロジェクト・アンリミテッドを紹介されました。
ストップモーションの経験者だったウォーレンは、恐竜の特撮はそれを使うよう提案し、結局ハリスが折れるかたちとなり、ストップモーションとロッドパペットを使う事になりました。
恐竜のモデルは「キング・コング」(1933年版)でも造形を担当したマーセル・デルガドが担当し、アニメーターはパルの息子デヴィッド・パルやドン・セイリーンなど、「80万年後の世界へ:タイムマシン」でアカデミー賞を獲得したティム・バーも参加し、オブライエンも現場を度々訪れては、様々なアドバイスをしていたそうです。

しかし完成した映画は、日本でVHSが発売された時「ダサイナザウルス」というサブタイトルがつけられたとおり(しかも着ぐるみは一切使用してないのに、「ぬいぐるみだい!」といい加減な事を言われてしまう始末)、お世辞にも良いとは言えません。
低予算の影響がもろに出てしまい、合成は合成だと丸分かりで映像も安っぽく、恐竜の造形や動きも悪くて、一流のスタッフが参加したとは思えない仕上がりとなってしまいました。
話も滅茶苦茶ですが(同じ恐竜でもティラノサウルスは白亜紀末期で、ブロントサウルスはジュラ紀後期だから、時代がまったく異なる)テンポ良く進んでいき、映画自体も雰囲気がとにかく明るく、さらに「恐竜と友達になって、その背中に乗ってみたい」という夢が、嫌味なく純粋に描かれているので、結構楽しめる映画となっています。
これが本作最大の魅力であり、ついつい惹き込まれてしまいます。

またフリオとネアンデルタール人がブロントサウルスの背中に乗って歩き回るシーンは「怪獣王子」、ティラノサウルスがバスを襲う時車内を覗くのは「ジュラシック・パーク」、ティラノサウルスと油圧ショベルの戦いは「魔の火山湖・蘇った巨大生物の恐怖」や「エイリアン2」のラストシーンそっくりなので(実際、比較映像もある)、何だかんだで後世に与えた影響は大きいです。
「ダサイナザウルス」というサブタイトルをつけた人は、物の価値が分かってないね(笑)。

それと最近になってハリスが、老衰により98歳で亡くなられた事を知りました。
彼の映画で見たのはこれと「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」、「ダーク・スター」だけですが、「最後の海底巨獣」は初めて見た時から好きな映画で何度も見ました。
楽しい映画を、誠にありがとうございました。



予告編です↓


よく考えてみたら、この映画はフリオの立場になって見ると、悲劇でしかありません。
お気に入りのおもちゃを性格の悪い育ての父親に壊れただけでなく、せっかく友達が2人も出来たのに全て亡くすので、彼自身はまったく幸せになっていません。

本作で使用されたブロントサウルスのモデルとミニチュアセットは、「トワイライト・ゾーン(ミステリーゾーン)」の1エピソード、「33号機の漂流」で旅客機が恐竜時代に迷い込むシーンに流用されました。

ティラノサウルスの鳴き声も「豪勇ゴライアス」のドラゴンや、「SF第7惑星の謎」の1つ目怪獣の悲鳴、「アウター・リミッツ」の砂竜や三葉虫に似た怪生物に流用されました。



出典
画像2:dino.html


参考サイト


参考文献


参考動画

by asabatyou | 2017-08-16 17:37 | 特撮、モンスター | Comments(2)

Commented by asabatyou at 2017-08-17 18:01
昨日これを書いている時に気づいたのですが、氷漬けの恐竜というのは、ロトスコープやベティ・ブープで有名な、マックスとデイヴ(デイブの表記もあり)のフライシャー兄弟が作ったアニメ版「スーパーマン」の、影響を受けているのではないでしょうか?
こちらは北極で発見された氷漬けのティラノサウルスが、氷が溶けた事で動き出し暴れまわるストーリーです。

初代ブログでも書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/asabatyou/20110124)、1942年の作品でありながら、怪獣物のお約束が見られるので、ファンなら必見です!!

本編はこちらです(日本語字幕あり)↓
https://www.youtube.com/watch?v=QKYMLDrY1xA

Commented by asabatyou at 2017-09-25 17:37
本作のティラノサウルスの鳴き声は、ロジャー・コーマンの「呪われた海の怪物」に登場した、「ひらけ!ポンキッキ」のムックの出来損ないみたいな怪物にも流用されました↓

https://www.youtube.com/watch?v=HynQVDWwSOE

悪くはないのですが、何だか顔と声があってないような気もします。
今までこの声を聴いたのが、爬虫類系だったからかもしれません。