何がジェーンに起ったか?
今日は借りたDVDの1枚「何がジェーンに起ったか?」を見ましたので、その事について書きます。
町山智浩さんの「トラウマ映画館」で少し語られていましたので、それで興味を持ちました。
スタッフ
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ヘンリー・ファレル
音楽:フランク・デ・ヴォール
キャスト
ジェーン・ハドソン:ベティ・デイヴィス
ブランチ・ハドソン:ジョーン・クロフォード
ストーリー
時は1917年。ジェーン・ハドソンは「ベイビー・ジェーン」という愛称で親しまれ、ヴォードヴィルの舞台で大活躍した人気子役だった。
そんな妹を、姉のブランチは羨望と嫉妬の眼差しで見ていた。
しかし大人になって映画の時代になると、ジェーンは演技力のなさや素行にも問題があるとされて映画界から捨てられて、代わりにブランチが才能を認められてスターになるという、完全に立場が逆転していた。
これに嫉妬したジェーンは、車で姉を轢き殺そうとする。
ブランチは一命を取り留めたが、車椅子なしでは生活出来なくなってしまい、芸能界を引退するハメになってしまう。
それから数十年後、老いた2人は暗い屋敷でひっそりと暮らしているが、過去の栄光をいつまで経っても忘れられないジェーンは、全盛期の頃に歌った歌を少女のような表情と仕草で歌ったり、ペットの鳥を殺害してその死骸をそのままブランチの食事に出したりなど、醜く陰湿な暴君になっていた・・・。
レビュー
ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの共演が話題になった、サイコ・スリラー映画。
実の姉妹でありながら仲が悪くて殺し合うところは、「豪血寺一族」の豪血寺お梅とお種の姉妹や、「鉄拳」のニーナとアンナのウィリアムズ姉妹の先駆けとも言えます。
内容が内容なので、ジェーンがブランチが身動きが取れないのを良い事に、好きなように散々いたぶって、ついには自分の悪行を知ってしまった人まで殺してしまうという、常にドロドロとしたものです。
デイヴィスとクロフォードは、実際ライバルだった事もあって撮影現場も壮絶だったらしく、こっそりと電話を使おうとしたブランチにジェーンが暴行を加えるシーンでは、デイヴィスは偶然を装って本気でクロフォードの頭を蹴りつけて怪我をさせてしまう。一方、ジェーンがブランチをベッドから引きずりおろすシーンでは、逆にクロフォードがわざとデイヴィスに体重をかけたため、デイヴィスは腰を痛めて入院してしまった。
さらに、ジェーン役でデイヴィスがアカデミー主演女優賞にノミネートされると、ノミネートされなかったクロフォードはアンチ・ベティ・デイヴィスのキャンペーンを敢行。ベティ・デイヴィスに投票しないようにとアカデミー会員に呼びかけて回ったり、授賞式当日も、プレゼンターとして登場したジョーン・クロフォードは高らかに受賞者であるアン・バンクロフトの名前を読み上げ、満面の笑みでデイヴィスを見下ろしたそうです。
かつての大女優がこんな汚れ役を・・・というショッキングな話題性と凄まじい演技合戦で、この映画は大ヒットを記録し、楳図かずおさんの「おろち」の第1話「姉妹」の元ネタにもなり、オリヴィア・デ・ハヴィランドやジョーン・フォンテインといった方々も、このようなグランデ・デーム(年配女性)・ギニョール、あるいはハグスプロイテーション(老婆を題材にしたB級映画)と言える新ジャンルに身を投じたり、デイヴィスもクロフォードもこのイメージが強過ぎて、ホラー映画の仕事が多くなったようです。
これが理由で、全米の子供達のおばあちゃんに対する見方は、一変したという。
予告編です↓
全盛期の大活躍が忘れられない主人公は、「サンセット大通り」や「愛と憎しみの伝説(ジョーン・クロフォードの養女クリスティーナが、彼女に虐待された事を暴露した「親愛なるマミー」が原作である)」を思わせます。
実際エンディングも、「サンセット大通り」を思わせました。
ですがこちらは全盛期が子役ですから、尚更大人時代とのギャップがあり、その時を思い出し少女のように歌うシーンは、あまりにもおぞましく、一度見たら忘れられません(最初にそれをやった時には、鏡に写った今の自分の姿を見て、ショックを受けて両手で顔を隠したり、2度目にやった時にはピアノ伴奏者として雇われた人が、明らかに引いている)。
出典↓
画像1:Poster for What Ever Happened to Baby Jane_ (1962, USA) - Wrong Side of the Art.html
画像2:Inflatable Ferret » Shocktober Double Feature_ Girls Just Want to Have Fun.html
参考動画↓
町山智浩の映画塾!「何がジェーンに起ったか?」<予習編> 【WOWOW】#134 - YouTube.html
町山智浩の映画塾!「何がジェーンに起ったか?」<復習編> 【WOWOW】#134 - YouTube.html
参考文献↓
トラウマ映画館
モンスター大図鑑
参考サイト↓
ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィス.html
何がジェーンに起こったか?|パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★.html
何がジェーンに起ったか_ - Wikipedia.html
何がジェーンに起ったか?(WHAT EVER HAPPENED TO BABY JANE_)/子役の悲劇 _ 映画感想 _ FRAGILE.html
映画「何がジェーンに起ったか」(1962 米)【ネタバレ有り】 _ いっそ飲むように食え.html
What Ever Happened to Baby Jane_ (1962) - IMDb.html
何がジェーンに起ったか? - 作品 - Yahoo!映画.html
by asabatyou | 2015-12-06 17:01 | 映画 | Comments(5)
今では40代の女性が、「アラフォー」とか「大人女子」などと呼ばれていますが、その先駆けでありご先祖様なのかもしれません。
またペットの鳥やネズミの死骸をそのまま料理に乗せて、ブランチに出すシーンについては、上にも書いたように2人の仲の悪さもあって、演技でしょうけど私情があるようにも見えてくるのが不思議です。
本当はベティ・デイヴィスが出演するはずが、「監督の仕事が初めての若造だから嫌だ。」と断ったので、クロフォードが出演する事になったそうです。
彼女はスピルバーグを認めていたようで、近くにいた記者に「あの子のところへ行ってインタビューしてきなさい。彼は、これから一生ハリウッドを引っ張っていく映画監督になるから」と語ったそうです。
クロフォードの言った通り、スピルバーグは「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」といった名作を次々と生み出し、その名が世界中に知られるヒットメイカーに成長し、2人の友情も彼女が亡くなる日まで続いたとのことです。
私は「愛と憎しみの伝説」のイメージがあまりにも強過ぎて、クロフォードの事をどうも良く思っていなかったのですが、少し見方が変わりました。
この人がいたから、今のスピルバーグがいるようなものですから。