昨日は最初から自宅にあるDVDの「キングコングの逆襲」を見ましたので、その事について書きます。

スタッフ製作 : 田中友幸
脚本 : 馬淵薫
音楽 : 伊福部昭
監督 : 本多猪四郎
特技監督 : 円谷英二
キャスト
野村次郎三佐 : 宝田明
マダム・ピラニア : 浜美枝
カール・ネルソン司令官 : ローズ・リーズン(声 : 田口計)
スーザン・ワトソン : リンダ・ミラー(声 : 山東昭子)
ドクター・フー : 天本英世
フーの助手 : 田島義文、堺左千夫 ほか
フーの手下 : 黒部進、伊吹徹 ほか
キングコング : 中島春雄
メカニコング、ゴロザウルス : 関田裕
ストーリー
悪の天才科学者であるドクター・フーは、北極の地下に眠る究極の核兵器素材である放射性物質のエレメントXを、採掘しようと目論んでいた。
彼は国籍不明の女工作員マダム・ピラニアの資金援助により、巨大なゴリラ型ロボットのメカニコングを開発し、発見したのは良かったが、エレメントXが発する磁気の為、作動不良に陥ってしまう。
そこでフーとピラニアは、キングコングと彼と親しいカール・ネルソン、野村次郎、スーザン・ワトソンをさらい、再びエレメントXを採掘しようとするが、コングは催眠術があっさり解けてしまい、3人もこれを拒否したので、またもや失敗に終わる。
コングとスーザン達は脱出に成功するが、フーは新たに製造したもう1体のメカニコングを使用して、コング達の跡を追う。
レビュー
1962年の「キングコング対ゴジラ」で、キングコングの使用権を得た東宝。
しかし5年契約だったので1967年にその終了が迫っており、最後にもう1本作ろうという事で製作されたのがこれです。
最初は「ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ」にしようと思ったのですが、アメリカ側が難色を示し、悪役がドクター・フーやロボット・コングという、テレビアニメ版に似た作りとなりました(しかし東宝は「キングコング対エビラ」を捨てがたかったようで、主役をゴジラに変更した「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」を製作しました)。
ストーリーはこれまでの作品とは何も繋がりはなく、完全に独立したものとなっていますが、その一方で過去作品への敬意がある魅力的な作品となっています。
まずゴロザウルスや大ウミヘビとの戦いは、完全に本家「キング・コング」(1933年版)にある、ティラノサウルスや蛇に似た謎の巨大生物の戦いへのオマージュで、メカニコングがヒロインをさらって東京タワーへ登って行くけど転落死するのも、本家コングと同じ最期となっています。
コングも前作の反省点を活かしてちゃんとゴリラらしい姿になり(しかし顔はキングコングというより、ドンキーコング似である)、ゴジラ役者として有名な中島春雄さんの熱演もあって、かつての魅力を取り戻しています(前作でコング役だった広瀬正一さんも下手糞ではなかったですが、見た目が本家とかけ離れているだけでなく、動きも本当にただの猿といいますか、プランプランしているところがあって、そこが不満でした)。
よく考えてみたら、中島さんは映画界を代表する2大モンスターを全て演じた最初の俳優なので正直羨ましく、こんなに贅沢な役者は他にいないでしょう(ちなみに2人目は、「キング・コング」(2005年版)や「GODZILLA ゴジラ」(2014年版)に出演した、アンディ・サーキス氏)。
美人のお姉さんに弱いというお約束もありますが、元祖にあった美女と野獣や男女関係といった感じではなく、完全に友達タイプなので、中身は第2作目の「コングの復讐」に登場したちびコング(キングコングの息子とされる白い巨大ゴリラで、通称キコもしくはキイコですが、本編では使用されず)に近いです。
なので元祖と2作目のいいとこ取りなのが、今回のコングです。
それとフーがヘリコプターで睡眠薬入りの爆弾を落として、コングを攻撃し捕獲するシーンがありますが、これが最新作「キングコング: 髑髏島の巨神」で主人公達が、初めてコングに遭遇するシーンにそっくりだった事です。
他にも東京タワーで2匹のコングが戦う最終決戦は、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」の壊れた吊り橋での対決シーンに似ているので、後世に与えた影響も大きいのではないでしょうか?
主役の怪獣とそれをモデルにした巨大ロボットの戦いは、「ゴジラ対メカゴジラ」へと受け継がれましたから。
このように日本の怪獣だけでなく、コングのファンが見ても楽しめるので、オススメ出来る1本です。
予告編です↓
ちなみに本作では、コングとメカニコングとゴロザウルスが北極で三つ巴の戦いを繰り広げているスチール写真がありますが、本編にはまったくありません。
同じくコングとメカニが北極で1対1の戦いをしているシーンや、ゴロザウルスが北極にいるシーンも一切ないので、これらがあるんだと思い込んで見てしまうと、正直ガッカリしてしまいます。
他の怪獣映画と異なり、いかにもスチール写真やロビーカード然としておらず、本当に劇中にありそうな作りなので、絶対勘違いする人が出てきます。
この有様だからメカニとゴロザウルスは絡むシーンすらないので、「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」でサンダ役だった関田裕さんが、1人2役で演じたほどです。
また本作で使われたコングの着ぐるみは、「行け!グリーンマン」のゴリラに流用されました。
本当はキングコングとして登場させたかったのですが、使用権が終了して無理だったので、宇宙生物に洗脳されて凶暴化したゴリラへと変更されました(鳴き声も「帰ってきたウルトラマン」の、ブラックキングになっています)。
ゴロザウルスは「行け!ゴッドマン」にも登場しましたが、着ぐるみの劣化が酷くて見た目がヨボヨボになり、すっかり変わり果てた姿になっています。
「怪獣総進撃」に登場した時はゴジラ達と協力して、キラアク星人やキングギドラの魔の手から地球を守る為に大活躍したのに、あの勇姿がまるで嘘みたい・・・。
出典
参考サイト
参考文献
参考動画