今月の16日に「プロデューサーズ」(2005年版)を見ましたので、その事について書きます。
本作にあるオカマみたいにナヨナヨしたヒトラーが、他のナチスのメンバーと共に歌って踊るシーンが「総統閣下シリーズ」で見られるので、それで知りました。
スタッフ監督 : スーザン・ストローマン 脚本 : メル・ブルックス、トーマス・ミーハン
製作 : メル・ブルックス、ジョナサン・サンガー
キャスト
マックス・ビアリストック : ネイサン・レイン
レオ・ブルーム : マシュー・ブロデリック
ウーラ : ユマ・サーマン
フランツ・リープキン : ウィル・フェレル
ロジャー・デ・ブリー : ゲイリー・ビーチ
カルメン・ギア : ロジャー・バート
ストーリー
かつてはブロードウェイの大物プロデューサーだったマックスは今ではすっかり落ち目で、ヒット作を出せないでいた。
そんな彼の元に冴えない会計士のレオが訪れ、帳簿を調べてみたら、「わざと失敗するようなミュージカルを作れば大儲け出来る」事を発見する。
金に目が眩んだマックスはプロデューサーになる事を夢見ていたレオを口説き落とし、一緒にプロデューサーとなって失敗作を作り、出資金を持ち逃げする事にする。
まず最低の脚本家を探し、ヒトラーを愛するフランツの「春の日のヒトラー」を採用する。
次にゲイのロジャーに演出を依頼し、さらにスウェーデン語訛りの酷いセクシー美女ウーラを出演させる事にする。
マックスは出資金を集める為に、愛に飢えた老婦人を口説いて回るが・・・。
レビュー
かつて1968年の、同名映画を再び映画化したもの(メル・ブルックス監督が、どのバージョンにも全て参加している)。
ですがこちらは2001年に作られたミュージカル版を基にしているので、セットの作りや撮り方が映画というより舞台に近く、映画を見ている感じはあまりしませんでした。
ちなみに監督のスーザン・ストローマン氏という方は、ミュージカル版の演出と振付を担当し(夫を亡くして間もなかったらしく、代役でやったらしい。元々アメリカのブロードウェイで活躍する演出家や振付家なので、これで映画監督デビューしたという。それなら舞台に近い作りなのも、納得出来る)、主演もミュージカル版と同様ネイサン・レイン氏とマシュー・ブロデリック氏が、そのまま担当する事になりました。
ちなみにユマ・サーマン氏とウィル・フェレム氏は映画オリジナルキャストで、ミュージカル版と異なります。
ストーリー自体は至ってシンプルで、落ち目プロデューサーと夢見る会計士がひょんな事からヒトラーを題材にしたミュージカルを作るハメになり、それを作る様を描いています。
その題材がアドルフ・ヒトラーという時点で既に危ないのに(ヒトラーやナチスは、タブーとなっている国が多いので)、金儲けの為にわざと失敗する作品を作るのは前代未聞ではないでしょうか(実際よくある詐欺らしくて、バブル時代だった1980年代の日本のメディアがみんな引っかかったという)?
ブルックス監督自身ユダヤ系アメリカ人で、1926年生まれだから第2次世界大戦を知っている世代なだけでなく、親戚の方々をヒトラーやナチスに殺されたのに、それを笑い者にするというとんでもない内容となっています。
何故このような映画になったのかといいますと、ブルックス監督がナチスやヒトラーを取り上げた作品を一貫して作り続けていると同時に、彼らに対する強烈な風刺精神があるからみたいです。
チャールズ・チャップリン氏の「独裁者」と同じくヒトラーをネタにした「生きるべきか死ぬべきか」の影響もあって、「ヒトラーを怖い存在として描くよりは、完全に笑っちゃう方が却ってヒトラーをバカにしてるだろ」という考えだそうです。
その気持ちは映像に見事に出ており、オカマにしか見えないヒトラーがミュージカルをするシーンは、普段とのギャップもあって笑うしかありません(笑)。
公式が病気と言いたくなるぶっ飛んだシーンなので、当然本作をネタにしたMADムービーもいくつか存在しており、「総統閣下シリーズ」の素材として見るのも良いですが、ブルックス監督の考えが分かる作品でもあるので、2つの楽しみ方があります。
予告編です↓
ちなみに本作は、日本語吹き替え版がないみたいです。
歌うシーンが多いので、やりようがないと思われたのかもしれません。
出典
参考動画
参考サイト