今月の25日ですが、WOWOWで放送したのを録画した「海底軍艦」を見ましたので、その事について書きます。
久々に見てみたいと思っていたので、ちょうど良かったです。
スタッフ監督 : 本多猪四郎(監督)、円谷英二(特技監督) 製作 : 田中友幸
脚本 : 関沢新一 音楽 : 伊福部昭
撮影 : 小泉一(本編)、有川貞昌(特撮)、富岡素敬(特撮)メカデザイン : 小松崎茂(ノンクレジット)製作会社、配給 : 東宝
キャスト旗中進 : 高島忠夫 神宮司真琴 : 藤山陽子 西部善人 : 藤木悠
海野魚人 : 佐原健二 楠見 : 上原謙 伊藤刑事 : 小泉博
神宮司大佐 : 田崎潤 天野兵曹 : 田島義文 ムウ帝国工作隊23号 : 平田昭彦
猊下(ムウ帝国長老) : 天本英世 ムウ帝国皇帝 : 小林哲子
ストーリー
太古の昔、かつて世界を支配していたが、海底に沈んだムウ帝国(ムー大陸の表記もあり)。
優れた科学力で海底に都市を築いた彼らは、再び地上に君臨する為に全世界へ宣戦布告をする。
一方、終戦時に姿を隠した旧日本海軍の神宮司大佐率いる将兵達は、孤島で秘密兵器である海底軍艦“轟天号”を建造していた。
ムウ帝国との戦いを要請された神宮司は、これはアメリカとの決戦の為に作ったとこれを断るが、説得に来た娘をムウ帝国に誘拐され、ついに出撃を決意する。
レビュー
押川春浪さんという方の小説「海底軍艦」を、ゴジラ映画のメンバーが1963年に映画化したもの(ただし登場人物や設定は映画オリジナルのもので、「少数の人員が孤島で海底軍艦を建造する」という大まかなストーリー以外、ほぼ独自の内容となっているらしい)。
本作を一言で表すとしたら、悪い意味で昔の事を忘れていない同士の戦いを描いており、主人公側の海底軍艦側は、あれから20年ぐらい経っているのに、まだ第二次世界大戦の面影を引きずっており(ここが、物凄く時代を感じる)、悪役のムウ帝国は、この世は元々自分達が支配していたからという理由で、地上世界へ宣戦布告するという内容となっています(原作では、日露戦争に至る直前の日本とロシアの対立が顕在化していた時代だったので、ロシアが敵役なのですが、時代的に無理があるという理由で、ムウ帝国という架空の国に変更した)。
けど軍艦側が周囲の説得により、平和目的で利用するのは、古い考えを捨てて、新しい時代を築こうとしている事への現れのようにも見えました(実際、監督の本多さんも、戦争経験者だったので、神宮司の心情は理解できるものの、その主張をつきつめていけばムウ帝国と同じになってしまう為、神宮司の立場から描く事は出来なかったと述べていた通り、最初の神宮司は、頭や考えが古臭い且つ、頑固で他者の言葉に聞く耳を持たなかったりと、どうも共感できる人物ではなかった)。
また潜水艦に似た乗り物と言えば、「海底2万マイル」のノーチラス号がいますが、この海底軍艦は海でも空でも自由に行動出来て、更に巨大イカに苦戦していたノーチラス号と異なり、こちらはムウ帝国の守護龍のマンダに襲われても、あっさり片付けていたのは、ハリウッド映画への対抗か挑戦のようにも思えました。
他にも滅ぼされつつあるムウ大陸ですが、最初から平和的なやり方で解決すれば、こうはならなかったのでは?と思うと、何だか哀れな最期でもありました。
ちなみに終わり頃の爆発シーンが、他の作品と明らかに違っていたのですが、これはカメラを上下逆にして、水槽に絵の具を落とす事で表現しているそうです。
従来の作品よりも絵の具の量を多く使用しており、水面に反射する事で立体的に描写しているようですが、特撮班カメラマンの富岡素敬さんという方曰く、「ゴジラよりも撮影が難しかった」との事です。
それと見覚えのあるシーンがいくつかありましたが、あれは「地球防衛軍」や「宇宙大戦争」からの流用映像でした。
一応怪獣は出てくるものの、「地球防衛軍」や「妖星ゴラス」のように完全に添え物で出番も少なく、出てきても簡単に倒されてしまうので、ゴジラみたいなノリを期待するとガッカリしちゃうかもしれません。
ですが、話自体は心の闇を抱えた主人公側が、自身の分身とも言える悪役を倒す事で、自分自身に打ち勝つ、または乗り越えるというシンプルだけど印象に残るので、誰が見ても楽しめる作品となっています。
予告編です↓
マンダについては、その後「怪獣総進撃」に登場し、ゴジラやモスラなどと共演していますが、本作と違って角や髭などがなくなり、まるで大蛇のような姿になったので、すっかり別物化しています。
もしかして性別か種類が違うのでは?という気もしますが、どうやらマンダは元々大蛇にするつもりで、「マンモススネーク→マンモス蛇(だ)→マンダ」と名付けられましたが、映画公開の翌年(1964年)が辰年なので、竜に変更されたらしいです。
なので「怪獣総進撃」で本来の姿になったわけですが、「ゴジラ FINAL WARS」以降の登場作品では、「海底軍艦」と同様、再び竜の姿になりました。
出典
参考サイト